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税制改正について考える その6 [税制改正についての私見]

 5月に入り、部活や趣味の話しなど柔らかい話しが続きましたので、この辺でまた税法についての私見を述べたいと思います。
 平成20年度における税制改正の目玉は何と言っても、事業承継税制でしょう。
私もまだ詳細については情報は得ていませんが、概略についてはご存知の方も多いと思います。
 一言で言えば、非上場企業の株式について、相続等により取得した農地の納税猶予制度の仕組みを取り入れ、一定の条件のもと条件に合致した事業承継の場合には、実質的に株式の評価の80%相当額に対応する相続税額が免除される、というものです。
 この法律は条件が厳しすぎるきらいがあり改善の余地はあるとは思いますが、久々に十分評価できる今の時代に即応した、良い法律だと私は思います。
 相続税は大変公平性を保つのが難しい法律だと私はつねづね思っています.
何故ならば世の中は動いている,しかも目まぐるしく.会社も個人の財産も株価も為替相場も何もかも.一瞬先は闇,との喩えの通り,例えば会社であれば今日はよくても明日は存続しているかどうか分からない,土地でいえば今から15~6年前は土地投機バブルの全盛期で日本全体の土地評価総額がアメリカのそれを上回り,ジャパンアズナンバ-ワンと呼ばれたが,今は土地神話も崩壊し,特に地方の土地の需要が大幅に下がった結果,地価の下げ止まりがとまらない.
 為替相場もこのところ原油高,アメリカ発サブプライムロ-ンの焦げ付きの問題が全世界に波及し円高ドル安がとまらず,日本経済にも大打撃を与えている.
 かように今の社会はこの先何が起こるか分からないのである.
しかし,相続税は時点課税である.つまり亡くなった方の,亡くなった時点での各遺産をその時点での評価に基づき集計して,相続税を計算することとなっている.
 遺産のうち現在一番安定しているのが現金及び預貯金である.最近原油高の影響を受け,諸物価が値上がりだしたので,おそらく消費者物価指数も久々にかなり上昇すると思われるが,日本経済はこの10年以上物価は非常に安定しており,インフレとは無縁であったので,現金及び預貯金の実質価値が目減りすることはなかった.よって現金及び預貯金を相続時点で評価しても,それらの財産を相続し名義変更し実質的に各相続人が自由に管理処分する段階になっても,殆ど価値が変わらないであろう.
 このような資産については相続時点での評価について誰も異論を挟む余地がないであろう.
 それと対極にあるものが株式特に非上場会社の株式の評価である.
上場会社でも確かに突然潰れる会社はいくらでもあった.しかしそ非上場会社の比ではない.
 会社は生き物である.人間の体調が日々,というより一刻一刻と変化しているように会社特に非上場会社の経営内容は目まぐるしく変化しているのである.
 特に多くの非上場会社は,経営者の経営能力が会社の存亡,繁栄の最大の鍵を握っていると言っても過言ではない.もっと分かり易く言えばある会社の業績が良く,内部留保を十分にしている優良企業であったとしても,それは現在の経営者の資質に依存する部分が高く,逆にその経営者でなければ現在の業績を維持,発展させることは殆ど不可能ということである.
 生き馬の目を抜く,そんな怖さを秘めている油断ならない現代社会にあって,経営者の資質がますます問われている会社の株式の評価を,そもそも相続という一定の時点において切り取った,瞬間風速的なその時点での資産の評価によるとすることは,相続税という法律の性格上仕方がないにしても,大変危険である.
 何故って明日には資産そのものが変動しているから,しかも中小零細企業は劇的に.
非上場会社の株式がいかに内部留保があり,相続時点で高い評価額になっていたとしても,それはその時点でのこと.会社は生きており業績は刻々と変化している.相続税はどうしても静態論的な考え方,つまりある時点を切り取ってその時点での評価,ということは相続時点で会社が解散するとした場合の評価をせざるを得ない.
 しかしその一方で業績は刻々と変化している.これでは公正な課税を望むべくもない.
だから私はつねづね非上場株式の評価,特に同族株主グル-プの株式の評価について,会社の業績により計算した純資産価額と,上場会社との業績の比較により評価した類似業種比準価額との折衷により公正さを追求していても,どうしても無理があると思っていました.
 一番引っかかっていたのが,非上場会社特に中小零細企業における一身専属的な要素をどう評価に織り込むか,といったことでした.上記の評価方式は十分に考えられ錬られたものであるにせよ,数字に表れてた表面的な数字での評価であり,水面下にあるそれぞれの会社の個性特に経営者の資質という属人的な要素を一切反映させていなかったからです.
 確かに評価については割り切りが必要です.上記の評価方式はかなり細かく規定されており,これはこれで完成されたものと思っています.そもそも属人的な要素は測定不可能ですので誰が法律を作ってもこれを正確に測定することはできないと思います.
 しかしその一方で高い株価そして高い相続税に阻まれて,思うように事業承継が進まない中小零細企業が多いことが社会問題になっていました..
 そこで評価は評価で上記方式によって評価する一方で,相続人が先代社長より経営を引継ぎ5年以上,先代と変わらない規模で会社を維持できたのならそのご褒美として非上場株式の評価額の80%に相当する相続税を5年間猶予してあげましょう,そして最後には納税を免除してあげましょう,という今回の改正はまさに属人的な要素をうまく取り入れたと言う点で,中小零細企業の実態にある程度合致した素晴らしい法律と言えるのではないでしょうか.
 相続における農地の納税猶予制度も,農業相続,営農,永農を条件に大部分の相続税を猶予そして最後は免除するものです.
 私は前回触れた同族会社の役員報酬を狙い撃ちにした2つの法人税のように懲罰的な法律で人の行動を縛るのではなく,この事業承継改正の法律のように会社を継続させるべくうまく誘導してゆくような温かい法律を作って欲しいと思います.
 両者の間には大きな差があります.一言で言えば,北風と太陽です.
性悪説に基づき人を罰することによって誘導するやり方と,性善説に基づき国の立法政策に合致した行動をとったらご褒美をあげるやり方.どちらがより有効でしょうか.
 後者の方には温かさがあります.素っ気ない法律でもその精神に温もりが感じられます.
法律を作られる方,どうか温もりの感じられる法律を数多く作って下さい.そして私たち国民をうまく国の政策に合致する行動をとるよううまく誘導して下さい.

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税制改正について考える その5 [税制改正についての私見]

 前回はまたまた興奮した記事になってしまいました。また冷静な気持ちでコメントします。
 国税庁が前記2つの同族会社役員報酬の根本的改正を行った経緯には、企業が同族色を薄め、もっとオープンな内部牽制の働く組織に生まれ変わって欲しいというメッセ-ジが込められていると思いますし、またそれがあるべき方向ではあると思います。
 これから我々税理士の役割も、節税重視の姿勢から企業が安定的に成長、発展してゆくのをもっと積極的にお手伝いしてゆく姿勢への転換が求められています。
 税金も企業にとって大きなコストですが、毎期安定的に利益を計上し、収支を安定させ、株主には適正な配当を支払い、役員報酬もキチンともらい、法人税もキチンと納める、これが企業としての理想でしょう。しかし先にも触れましたが、中小零細企業が何も好き好んで赤字決算を続けているのではないのです。資金繰りに窮しているから、税金を支払う余裕がない。
 国税庁から見れば赤字決算とはいっても、役員報酬の未払い及び社長からの借入金が累積しただけの作られた赤字のうえでの決算ではないか、と眉をひそめているのでしょうが、それでも自分が働いた労働の対価がまともにもらえない、或いは一旦報酬をもらえても再度会社にバックするのはつらいですよ。
 ですから、今回の法律で短兵急に結果を求める~つまり期首に社長の向こう一年の報酬を決めてキチンと支給しなさい、また会社の株式を社員に譲渡したり一族以外の人を株主にしたり、一族以外の人にも経営陣に参画してもらいなさい、とにかく社長のワンマン色を薄め内部牽制の働く組織にして下さい~、そしてそうならなかった企業に対していわばペナルティのような形で法人税の負担を求めるのではなく、もっとゆるやかに誘導していく方法はないのでしょうか。
 私が思うに法人税と所得税の税率構造の違いも赤字決算が減らない一つの要因になっていると思います。法人税率は2段階の課税、法人事業税、都県民税、市町村民税を加味しても大体3段階課税です。それに対して個人所得税は6段階課税、個人住民税は一律10%課税そして事業税は一律5%です。ただ問題は最低税率です。個人は所得税5%住民税10%の計15%から始まる(個人事業税は年間290万円以下はかかりません)のに対して、法人税率は地方税合わせて約30%となります。一方最高税率は個人が所得税40%住民税10%、さらに個人事業税が5%かかるので実質税率計52.5%(個人事業税は経費になるために単純に足し算して55%にはなりません)に対し法人税は地方税合計で約46%です。
 お分かりですか。最高税率はむしろ法人税の方が低いのですが、最低税率は大幅に法人税率の方が高い。
この差こそが赤字決算を誘発する最大の原因ではないか、つまり-法人税の方がは高いから、高めの役員報酬を計上しよう(その結果は払いきれないことが多いのですが)そのようにさせている最大の原因だと私は思うのです。
 ですから私の考えでは、懲罰的な法律を作り無理をして理想像に現実を近付けようとするのではなく、こうした両税法間の不備を埋め、役員報酬を高めに設定し赤字決算にし法人税をゼロにしても、その一方で赤字にした分だけ個人の所得税等で課税すれば全く一緒つまりお相子になってしまう、そういう税率構造にすれば赤字決算を組む理由、メリットがなくなります。
 そういうやり方の方がよっぽど実効性があるのではないか、と思うのですが如何でしょうか。
何度も言いますが、赤字法人が依然として60%を超える現状はいくら景気の伸び悩みが続くとは言っても確かに異常です。しかし中小零細企業の経営者も何とか利益を出したい、黒字決算にしたいのです。懲罰的な法律で追い込むのではなく、収支のバランスをうまくとり、安定的に利益を出しその結果としてキチンと法人税が支払えるような体質にうまく誘導してゆく。
 税法は利益の結果としての税金徴収ですからリードするということは難しいかもしれませんが、ゆるやかに変革を促すそういう、中小零細企業の経営者にとってやさしい税法であって欲しいと願っています。そしてそうなるためにはもっと現場の声を知っていただきたいです。
 

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税制改正について考える その4 [税制改正についての私見]

 前回の続きで定期同額給与についてコメントします。
今回の法律改正はまさに国税庁にとっては完璧な出来栄えではないでしょうか。
 確かに理論的には決算期後2~3か月以内に定時株主総会を開催することになっている。また定時株主総会は2年に1度は原則として役員の改選時期でもある。その時に次期以降の役員に対して会社との間で委任契約が交わされ、向こう1年間に支払うべき報酬を取り決める。
 プロ野球選手の年俸更改と全く同じですよね。ただ大きく異なる点は、プロ野球選手の場合は向こう1年間の報酬はキチンと支払われる一方、多くの中小零細の同族会社は前回にも触れましたように資金繰りに左右され、むしろまともに支給されているケ-スの方が少ない点でしょう。
 この定期同額給与の一番キビシイ点は、総会で決めた報酬は向こう1年間何としても払いなさいと要求していることです。業績悪化等により資金繰りが極端に悪くなった場合には例外的に減額改定を認めていますが、少々の資金繰りの苦しさぐらいでは認められないようです。
 これこそ建前主義の悪しき弊害と言いたいです。資本と経営が分離していない同族経営を何とかオープンにさせよう、社内的に牽制が働くようにしようとする法律の要請も分かりますが、実態とあまりにもかけ離れている。資本と経営の分離が理想像ではあるでしょうが、そんな簡単には事は進まない。 
 事実、同族会社主宰役員に対する報酬の一部損金不算入制度にしても、株式の一部分散化や親族以外の者の経営への参画などの方法でこの法律の適用回避を検討することはあっても、同族色を薄めることによる経営の弱体化を恐れるあまり、増税を認容する会社の方が圧倒的に多いと聞いています。
 確かに同族経営は言ってみれば社長一族のワンマン経営です。そこには不正も働く余地が十分にありますが、私が思うには不正をやる会社は同族会社でなくてもやるでしょう。(尤も同族会社でない会社よりは抑止力は働くでしょうが。)それよりも大多数の同族会社の経営者は良心的で善良な経営者であり、経営基盤が揺さぶられない分、本業に打ち込むことができる点で、同族経営はむしろ優れていると私は思うのですが如何でしょうか?
 ですから今回の法律改正の目指すところは十分理解できますが、いかんせん現実と乖離しすぎている。もっと現実に即した制度に改めていただくことは出来ないのでしょうか。 
 現段階では時代の先取りであったとしても、法律が会社の在り方を徐々に本来の姿に変えていくのだ、誘導していくのだとしても、そうなるまでに何十年かかるでしょうか。
それまでの間は、私には今回の2つの法律改正は同族経営が圧倒的に多い中小零細企業いじめとしか映りません。

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税制改正について考える その3 [税制改正についての私見]

 もう一つの役員報酬に対する改正、それが定期同額給与と事前確定届出給与制度の新設です。
先の同族会社主宰役員に対する報酬一部損金不算入制度と同時期にできた法律です。        
 この2つの法律を比較すると、一部損金不算入制度の方に関心というより批判が集中しているきらいはありますが、この定期同額給与もその効果、反響はすさまじいものがあります。
 定期同額給与制度は、利益操作の主原因となっている(と国税庁が認識している)役員報酬の改定時期を、前年度決算報告の時期に限定させることによって利益操作を実質的にシャットアウトすることを狙ったものです。また事前確定届出給与制度は定期同額給与制度を補完するするもので、定期でないイレギュラ-な役員報酬及び役員賞与の支給については、事前に税務署に対して届け出があった場合にのみ損金として認めるととするもので、やはり期の途中での恣意性による役員報酬の支給を完全にシャットアウトする制度です。
 前の一部損金不算入制度と合わせてこの2つの法律により、国税庁としては長年の懸案事項として利益操作の温床となっていた同族会社の役員報酬の改定について徹底的にメスを入れ、ほぼ根絶できるという自信というか安堵感を持っていることと思います。
 この法律改正の趣旨は確かに課税庁側として十分理解できるものではありますが、果たして同族会社ってそんなに罪悪な存在なのでしょうか?
 どの中小、零細企業もそうだと思いますが、社長はじめ同族会社の役員報酬の支払いは、いつも一番後回しになっているはずです。経営は何といっても資金繰りが最優先ですから、優先順位の高いものから支払いしてゆきます。仕入代金、借入返済、従業員の給料、家賃、もろもろの経費の支払いがあって、その後で残ったお金を社長ら一族の生活費として初めて支給できるわけです。
 だから会社と役員との関係は従業員のような雇用契約ではなく委任契約であって、その委任の対価である役員報酬は、株主総会または取締役会でキッチリ決められているのだ、と建前上のことを言っても、実際のところ資金繰りに余裕のない多くの中小零細企業は、まともに自分たちの報酬などとっていないのです。毎月株主総会等で決められた額も支給されているケ-スは少なく遅配は当たり前、遅れ遅れでももらえれば恩の字、資金繰りがいつまでも楽にならず、いつまでも遅延している役員報酬はその一部しかもらえず、どんどん未払報酬が積み上がっていく、こうした会社が如何に多いことか。、  
 結局会社を清算するまでもらえず、挙句の果てに放棄やむなしといったケ-スが多いのではないでしょうか。それでも資金繰りをヤリクリしていかなければ会社が存続できない。無い袖は振れないのです。誰だって自分たちで決めた報酬は満額もらいたいでしょう。
 ちなみに源泉所得税は決められた報酬全額に対して当然課税されますので、報酬を全額もらえない場合には、もらってもいない報酬に対して源泉所得税を支払っていることになります。ですから挙句の果てに未収の報酬を放棄してしまったら、源泉所得税は結果的に払いすぎだったということになります。まさに踏んだり蹴ったりです。
 でも国税庁の方はこうおっしゃるでしょう。そんなもらえない程高い役員報酬を設定した自分たちが悪いのでしょう、支払える範囲での報酬にしておけば何の問題も生じないのに、と。
 確かにそのきらいはあります。何故なら収支ベースよりも損益ベースで役員報酬の額を取り決めることが多いからです。そこには法人税の税率は高い、だから法人税は支払いたくない、だから役員報酬を目一杯高めに設定して利益を出さないようにしよう。こうして高めの役員報酬を設定した挙句結局払いきれずに終わってしまう会社も多くあります。
 それでも源泉所得税はその高めに設定した役員報酬に対して課税されているのです。長年経営していて大きな売り上げが出る時とか、景気が良い時には、勿論利益が出て法人税も払いますが累積した未払報酬も一掃されるでしょう。 とにかく経営者は資金繰りが一番大事、会社が存続することが一番大事、うまく経営が軌道に乗ることによって初めて自分達の報酬をまともにもらうことができる。確かに法人税を極力支払わないようにしているきらいはありますが、これも経営の一環、支出を極力抑えるためと理解することはできないのでしょうか。
どうも感情論でお涙頂戴の口調になってしまいましたが、まず中小零細企業の存続ありきです。国税庁にとっては税収確保が第一でしょうが、中小零細企業が元気で存続していただかなければ、国が立ち行かなくなります。

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税制改正について考える その2 [税制改正についての私見]

 前回同族会社の役員報酬をターゲットにした2つの法律改正があり、大きな反響を呼んでいることを述べました。  その一つ役員報酬の一部損金不算入制度は、本来サラリ-マン(一般的には使用人)に対して適用されるべき概算経費(給与所得控除と呼んでいます)を、個人事業主が法人成りした会社の役員に適用することは、言わば架空経費の計上にあたるので、その法律の穴つまり不備を埋めた、というのがその制定の趣旨です。                  つまり実態が個人の時と変わらないにも拘わらず、所得の種類が事業所得から給与所得へ変更されることにより、所得税において課税所得が給与所得控除分だけ減ってしまう。この穴をそのままにして置く訳にもいかない、ということです。そして個人事業から法人成りした会社の大部分は、いわゆるオ-ナ-会社といわれる資本と経営の分離していない同族会社である、だから今回の改正は十分正当性があるということでしょう。ですからこの制度の適用を受けないようにするためには、もっと同族色を薄めてもっとオープンな会社になりなさい、社長の意のままに動く恣意性の強い会社から脱皮して下さい、とこの法律は促しているのです。
 とここまでは国税庁のおっしゃる考えは十分理解できます。
ただ難を言わせてもらえば、それならなぜ社長の年間報酬と会社の利益の合計が1600万円という外形標準を設けたのでしょう?(法律設立当初は800万円であったのが、わずか1年で倍の金額に改定されました。)おそらく少額不追及という趣旨でしょう。しかしこれが却って法律の制定趣旨を大変に分かりにくくしている、というより逆行しているように私には思えてなりません。
 何故か?それは今回の法律がターゲットとしている会社以外の方にその矛先が向かってしまうためです。つまり社長の役員報酬プラス会社の利益の合計が年間1600万円以上の会社は、数人以上の社員を雇用しているある程度の規模を持った会社であることが多く、この法律の予定している社長と奥さんだけの零細企業はむしろこの少額不追及の規定により、対象から外れるケ-スが多いと思われます。
 本来のこの法律の趣旨は何度も言いますが、個人から法人への組織組み換えによる税法の不備を埋めようというものですから、その最大のターゲットである零細企業に法律の手が及ばず、むしろ新法の施行以前から事業を営んでいる中小企業に矛先が向かうのは皮肉な結果です。
 身内以外の社員を何人も雇用している会社は、雇用を創出している点で公共、公益的な存在であると私は思います。よってこうした会社への増税は到底納得できません。
 ですから適用除外としての外形的な標準は現行の1600万円基準ではなく、親族以外の社員を一定数以上雇用しているとか、親族以外の社員への給与支払総額が一定額以上であるとか、一定以上の雇用創出力を持っている会社を適用除外とする規定にすることが、この法律の趣旨に一番合致するのではないでしょうか。
 この制度は考え方は十分理解できるものの、見切り発車的に作られたもので、それこそまだまだ不備があるように思います。もっと議論を重ねてよりよい法律に改正していってもらいたいと思います。勿論税理士会がその時十分なオピニオンリ-ダ-として機能してくれることを切望しています。

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税制改正について考える その1 [税制改正についての私見]

 最近の税務研修での関心事は、法人税については同族会社役員報酬の一部損金不算入制度、資産税関係では事業承継税制の今後について、です。
 同族会社役員(主宰役員ですからほぼ社長ということになります。)に対する役員報酬が一部損金つまり経費にならない、あの悪名高き制度です。役員報酬に対する定期同額給与制度と並んで、同族会社の役員を狙い撃ちにした感の強いこのところの税法改正です。
 この2大役員報酬改正の規定の趣旨は何といっても、恣意性つまり社長の考え方次第で報酬を上下できる、いわば利益操作ができる余地を出来るだけ排除しようとしたものです。国税庁のこうした考えも分からないわけではありません。何故なら法人の60%以上が赤字法人であるのに、倒産している会社はごく僅かだからです。なぜ赤字法人でも存続できるかと言えば、債務超過であってもその債務が″有る時払いの催促なし″だからです。つまり社長の役員報酬が払いきれないので、その残高が借入金なり未払金として積み上がっている状態であって、この債務はよほど資金繰りに余裕がなければ返済されないのです。税務当局から見れば払いきれないほど高い役員報酬を設定したために赤字になっているのであって、そんな状態の決算書は、言わば法人税逃れで作為的に作られたものであり、何とか税金を徴収する術はないだろうか思案に暮れていたのでしょう。
 それが、起業を促すべく作られた最低資本金撤廃に伴い、大量の法人成り(つまり個人事業主がその実態は何ら変わることなく法人組織に変更する)が見込まれるこのタイミングこそ、今までのウサを晴らす千戴一遇のチャンスと考えたのでしょう、電光石火のごとくあれよあれよと言う間に法律を作り通してしまいました。17年暮れのことです。
 この法律改正は極秘に練られたものらしく、税理士会が政治活動をすべく別組織で作った税政連でも全く情報はキャツチしていなかったようです。国税庁とすれば少しでも情報が洩れれば税理士会やら法人会から矢のような批判が噴出して法律自体が潰されるか、あるいは大幅修正を余儀なくされて、法律の制定趣旨が大幅にトーンダウンしてしまうことを恐れたための隠密行動と思われます。
 しかしヤミ討ちのようなやり方は、2年前の15年暮れにあった長期保有土地の譲渡損失の原則損益通算切り捨ての措置に続いて2回目でしたから、税理士会も慌てたというより、バカにされた感が強く当然のごとく大反発の声が上がりました。しかし国税庁も通してしまえば、大勢は決したのだから慌てることはない、という感じで余裕しゃくしゃくでしょう。
 一般の税理士の方は今回のこうした騒動をどのように捉えているでしょうか?
税理士の無力さを感じている方が殆どではないでしょうか。作られた法律を清々粛々と執行していく、何か悲しくありません?誰しもが納得のゆく良心的な法律ならばいざ知らず、十分というより殆ど全く議論もされない法律がいつの間にか施行され、その法律にも強制力がある限り従わなければならない、お客様つまり納税者に説得し、ご納得していただかなければならない、納税者が目の前にいる言わば最前線にいる私たち税理士の立場って一体何なのでしょうか?
 本当に私たちが納税者と一番近い所にいて、真に納税者の苦しみや気持ちが分かるのであれば、どうしてそうした声が法律に反映されないのでしょうか。
 私は今回の同族会社役員報酬の一部損金不算入制度に対する当局側の考えには一理も二理もあると思います。しかし法律の成立過程があまりにもひどい。税理士を全く無視している、それはひいては納税者を無視している、ということではないでしょうか。
 租税立法主義を採るわが国では、法律=拘束力です。それだけ国民に影響力を与える法律ですから十分な審議過程を経て策定されなければならない、これは当たり前のことではないでしょうか?それが税理士会や法人会に情報を流したら潰される、として私たちを遠ざけるということは私たちを全く信用していないということではないでしょうか。私たち税理士会を納税者を擁護する利益団体とでも思っているのでしょうか。
 この法律のことを考えるといつもついつい興奮してしまいます。何もできない気弱な一市民税理士のクセについつい生意気な事を書きつづってしまいました。お見苦しい点深くお詫びします。
 ただ、同族会社の役員報酬に対しては自分として一つの考えがありますので、次回申し述べたいと思います。次回は冷静に書きたいと思います。

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